今、大卒採用の就職協定問題で混乱していますが、高卒採用のルールはそれ以上に厳格になっています。また、ハローワークからは、高卒者への対応を厳しく指導されます。

つまり、高卒者は何もできない新入社員として丁寧に扱ってほしいという事なのです。

背景には、新卒者と企業のミスマッチが、早期離職の原因になっていることにあります。

高校側でも、近年は職場体験等のキャリア教育の充実で改善が図られています。様々な経験を通して情報収集させ、雇用のミスマッチ回避に努めているのです。

一方、もし採用側に人材育成の仕組みがあれば、たとえ採用時のミスマッチがあったとしても、計画的にミスマッチの原因を会社が解消してやる、あるいは本人の目標達成計画をサポートしてやることで、重要な人材に成長してくれるのです。

しかし、現状は大卒に比べ高卒の新入社員に対する入社後の育成機会は少なく、多くの中小企業での高卒者は、「見て覚えろ」的な環境に置かれがちです。

高卒の素直で柔軟な思考力を引き出すための、仕組みを持っていない中小企業がほとんどなのです。

本来は、18歳で就職して4年間キャリアを積んだ22歳と、大学で4年間過ごした22歳との比較でなければ、本当の可能性は判断できません。

高校卒業後の4年間は、素直で多くの事を吸収できる期間です。

もし、高卒より大卒の方が能力は上だと認識しているとしたら、高卒者の本来の可能性を引き出せていない会社側の問題点に気づくべきです。

高卒者の不安と成長力を理解し、必要な人材育成システムを構築していれば、今の大卒者を上回る柔軟性のある思考力や能力を、最大限に発揮してくれる事を、疑う余地無く当然に期待できるのです。

私の講演を聞いてくれた高校の生徒さん達が、感想文を寄せてくれました。

今の高校生が抱えている不安、あるいは素直さや成長力を理解できると同時に、高卒者を採用する側の責任を実感できるのではないでしょうか。